中国スタートアップに興味ありますか?

中国のスタートアップを中心に、その他周辺情報も興味のままに書いていこうと思います。やっぱり中国は面白い!

百度はなぜ業績が悪化しているのか?今後の回復はあるのか。

百度の業績悪化が続いています。

以下のように検索事業で見ると3四半期連続で売上ベースで前年比割れをしています。

 

(直近の売上推移)

2016年7-9月  :RMB18.253 billion(0.7%減) 

2016年10-12月 :RMB18.212 billion(2.6%減)

2017年1-3月  :RMB16.891 billion(6.8%増)※検索事業では、売上1.3%減

 

また、下グラフの通り、メインビジネスである検索事業(青色)が伸び悩む中、新規事業を育てるべく投資をしており利益率も押し下げている、という状況でしょうか。

百度の発表によると、2017年2Qでは前年比20%以上売上が伸びる見込みのようです。

 

 

           【売上内訳と営業利益率推移】

f:id:jiujing_y:20170617160739p:plain

(出所)下記ソースより筆者作成

http://media.corporate-ir.net/media_files/IROL/18/188488/2017/BIDU_%20--_%20Q1_2017_Earnings_Release.pdf

http://media.corporate-ir.net/media_files/IROL/18/188488/Baidu%202016%2020F.pdf

 

 

また、百度といえば検索事業が危機的状況に追い込まれた事件が丁度1年ほど前にありました。

 

forbesjapan.com

 

これにより、株価は大幅に下落。元々広告収入の2−3割をヘルスケア業界から稼ぎ出しており、今後も医療業界の広告収入が伸びると宣言していた百度CEOでしたので、大打撃になったことは想像に難くありません。当局は事件後すぐに百度に対して業務改善命令を下しています。

 

こうした事件もあり、ネット広告に対して中国当局も取り締まりを厳格化する措置を取りました。

工商総局は、ネット広告の区分に関する新ルールの下では、検索連動型広告をネット広告とみなすと説明。その収入に追加で3%課税する可能性があると明らかにした。

 ジョン・チョイ氏ら大和証券キャピタル・マーケッツのアナリストは、これによって百度の2017年の最終利益が163億元(約2455億円)になるとの見通しを示した。

 これはブルームバーグがまとめた市場関係者の予想平均を4%下回る。

 チョイ氏はアリババについては4~6月期(第1四半期)売り上げの約50%が影響を受けると試算。利益に2.4%の影響が出ると予想した。同氏は「アリババと百度の負担が増えることを受け、市場も17~19年の両社の業績予想を下方修正するだろう」とみている。

アリババや百度の業績を直撃か 中国政府が9月からネット広告に新課税 - SankeiBiz(サンケイビズ)

 

百度の検索広告収入が落ち込む中、今後どのように挽回を図ってくるのか。

 

4月19日に上海モーターショーで百度グループ総裁兼COOの陸奇氏が、自動運転技術をオープンソース化すると発表した。この企画は「アポロプロジェクト」と名付けられた。

 百度は、15年12月時点で、開発中の自動運転車が変化に富んだ道路での試験走行を完了した、と発表している。百度が開発したソフトウエア「Baidu AutoBrain」を用いた車だ。

 北京周辺の一般道を時速30kmで走行、Uターンや右折・左折、車線変更、合流といった操作を行った他、時速100kmの高速道路も走ったという。百度は100%自律走行する車の開発を目指しており、個人向けの乗用車ではなくシャトルバスのような公共輸送車を3年以内に実用化する目標を持っている。

中国の百度が自動運転技術をオープンソース化する理由 | 莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見 | ダイヤモンド・オンライン

 

苦戦続きの百度が次の成長の柱に位置づけるのが、人工知能(AI)だ。2014年に米スタンフォード大からAIの基幹技術である深層学習の世界的権威、アンドリュー・ヌグ氏を引き抜いた。米国にある百度のAI研究所で陣頭指揮を執るとともに、AI関連のベンチャー投資にも積極的に打って出る方針だ。

 9月にAIや仮想現実(VR)などに投資する2億ドル(約210億円)のベンチャー・キャピタル部門を設立、投資先を決める委員会トップには李彦宏最高経営責任者(CEO)自らが就任した。今月、200億元(約3100億円)の規模を持つ百度資本の設立も発表した。米半導体メーカーと提携し、自動運転車向けのAIの共同開発にも乗り出した。

百度、AIや仮想現実に活路 :日本経済新聞

 

AIと自動運転を軸に第二の成長を狙う百度。最新の決算発表でもAIに注力すると明言しています。

“While our investment in AI is a long-term proposition, we are already seeing the powerful benefits of AI bear fruit across our existing platform. With AI set to play an increasingly important role across all major industries, we are confident that Baidu’s technology advantage positions us to both enable and participate in the growth and transformation of China’s AI-powered industries.”

Robin Li, Chairman and CEO of Baidu 2017年2Q決算発表より

http://media.corporate-ir.net/media_files/IROL/18/188488/2017/BIDU_%20--_%20Q1_2017_Earnings_Release.pdf

 

今後の動向に注目です。