中国スタートアップに興味ありますか?

中国のスタートアップを中心に、その他周辺情報も興味のままに書いていこうと思います。やっぱり中国は面白い!

【中国3大決済、銀聯・アリペイ・wechat payを比較してみた】あの銀聯はどうなった?

何度もお伝えしているように、中国のモバイル決済市場はアリペイとウィーチャットペイの2強が市場の約9割を占める寡占状態です。

 

ただ、覚えていますでしょうか?

 

ほんの数年までは、中国人は銀聯カードをメインで使用し、日本でも中国人決済用に銀聯カードが大量に増えていた時期があったことを。

 

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銀聯カードマーク

 

銀聯ネットワーク:

中国国務院の同意を得て中国人民銀行により批准され、2002年3月26日に中国の銀行カード産業の発展を目的として設立された金融企業である。本社は上海。設立から徐々に加盟機構数を増やし、現在は国内外の400近くの組織が加盟している。

銀聯設立より以前は、中国の金融機関での決済は各地域・各金融機関でシステムやルールが統一されていなかった。異なる金融機関間の取引(残高照会、預け入れ、引き出し、送金など)や、同じ金融機関でも異なる地域間の取引については、一部または全部の決済が出来ない場合があるといった問題があった。しかし、2002年3月に中国国内の80強の金融機関が共同で銀聯を設立することで、バラバラだった金融機関間の決済システムやルールを統一して標準化し、銀聯に加盟した金融機関同士をオンラインで結ぶことで銀聯設立以前にあった問題を解決した。

(出所)wikipedia

 

こうして出来た銀聯ネットワーク上で決済する為に利用されたのが、”銀聯カード”ということですね。

銀聯カードは、中国市場で9割以上のシェアを誇るカードブランドであり、クレジットカード・デビットカードの2種類が存在。ユーザーのステータスによって、どちらを持つかは異なります。(クレジットカード比率は、全体の10%もないと言われています)

 

では、銀聯の現状はどうなっているのか?アリペイとウィーチャットペイと比較してみました。

 

  銀聯 Alipay Wechat Pay
運営元 中国銀聯股份有限公司 Ant Financial Services Group Tenpay Payment Technology Co., Ltd.
設立時期 2002年 2004年 2011年
取扱金額
(2016年)
RMB 72.9 trillion
(約1,149兆8,991億円)
RMB 11.5 trillion (US$1.7 trillion) RMB 8.5 trillion (US$1.2 trillion)
加盟店舗数 世界4,000万店,ATM220万台(内、海外700万店) 中国内200万店舗以上 100万店舗以上
(2016年末時点)
利用者数 60億枚以上発行 約4.5億MAU 約6億MAU
(2016年末時点)
モバイル決済シェア 1.10% 50.40% 38.10%
利用可能国 160か国・地域 中国、韓国、タイ、香港、日本など70ヵ国・地域 中国及び諸外国の提携店等

 

銀聯は、総発行枚数60億枚、取引金額73兆RMB、利用可能店舗数4000万店と他2社をも圧倒的に引き離しています。すさまじいですね。

仮に、中国内発行枚数が50億枚(利用可能店舗数からざっくり算出)だとして、1世帯あたり人数が2.5人、人口14億人とすると、世帯数は、5.6億世帯。50億枚を世帯数で割ると、1世帯9〜10枚ほどの銀聯カード保有数になりますね。

やはり中々激しい数字に感じます。

(※計算は筆者の感覚に基づいた大まかな計算です)

 

背景としては、デビットカードの為、審査が不要 ②高額紙幣が存在しない為、まとまった現金をカード一枚で持ち歩ける利便性、という部分が大きく後押ししたのでしょう。ちなみに中国の最高額紙幣は、100元(約1,600円)です。

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前述のような社会の”不”(国民がクレジットカードを持てない、高額紙幣が無いetc)が集中している場所の方が新たなテクノロジーは普及しやすく、それは今でいう銀行口座もクレジットカードも持たない人が多い新興国で一気にモバイル決済が普及しているのと、プロセスとしては近いと感じます。

 

 【中国で直近3か月で利用された決済方式(2016年5月時点)】

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(出所)FT

 

前回の記事から再掲ですが、こちらのグラフをみても、クレジットカード・デビットカードの利用比率は非常に高いです。どちらもそのほとんどが銀聯利用であると仮定するならば、まだまだ銀聯も中国ではスタンダードとして利用されているのでしょう。

実際に、私の友人で威海に住んでいる日本人は”まだ銀聯を利用することの方が多い”と教えてくれました。(日本人である、ということは勿論考慮する必要がありますが)

 

激しい競争環境の中、銀聯はどういった対策を取っているのか?

次に続きます。

 

 

再見!