ウィーチャットが猛追!中国のモバイル決済はアリペイとの一騎打ちに
中国モバイル決済市場の2強
中国のフィンテック、モバイル決済が非常に進んでいることは以前お伝えしました。
では、具体的にどこの会社が強いのか、伸びているのか?
いわゆる中国インターネット界の3強BAT(百度、アリババ、テンセント)の内、特に最近勢いがあるアリババとテンセントが市場を寡占しています。
【中国モバイル決済プレーヤー 取引金額とシェア推移】
(出所)China Internet Watch「The growth of digital payment ecosystems in China: what it means for other countries」
この右図を見ると、ウィーチャットペイ(赤)とアリペイ(アリババ運営・緑)の2社で市場取引金額の9割に達していることがわかります。
先行するアリペイは2016年にウィーチャットの急速な追い上げにあっており、現在ではほぼ半々程度なのではないか、と言われるほど拮抗しています。
これら2つのサービスの違いは何なのか?それぞれの強みは異なるのか?
アリペイとウィーチャットペイは何が違うのか?
基本的にほぼ同じです。
ただ、サービスの生い立ち・背景が異なり、それにより使用目的も異なります。
【アリペイ・ウィーチャットペイ モバイル決済用途 2016年3月時点】
(出所)emarketer
一番下の部分、”P2P transfer”に注目してください。
この項目だけウィーチャットペイ46%に対し、アリペイが31%と勢力が逆転しています。”P2P transfer”というのは、個人間送金のことですので、お友達同士でお金の貸借り・返金などをする場合です。
確かに、ウィーチャットは日本でいうLINEであり、すでに9億人のユーザーを獲得して、コミュニケーションツールとして圧倒的No.1の地位を築いています。そして、ウィーチャットペイのユーザーは、その内6億人。
お金の貸借りであれば、そこにはほぼ確実に「こないだ借りたXX元返すね♪」「今日お金持ってないから貸して。。」などの会話が発生するはずです。
であれば、そのままウィーチャットでLINEスタンプを送る感覚でお金を送れたら便利ですよね。それが、この”P2P transfer”でウィーチャットペイが強い理由です。
では、アリペイはどうか?
アリペイはアントファイナンシャルという会社が運営していますが、その親会社は「アリババ」です。
アリババのメインビジネスはアリババやタオバオなどのECサイトですので、ここには販売者と購入者が存在します。
アリババのビジネスが伸び始めていた当初は、オンラインでお金を支払って商品が本当に送られてくるのか?といった不安がありました。そこで、アリペイが両者の仲介に入り、一時的に支払い金額を消費者から預かり、取引が問題なく行われた場合に販売者にお金を渡す、問題があった場合には消費者に返金する、というサービス(エスクローサービスと言います)を始めました。
つまり、アリペイの始まりはお買い物決済の仲介です。その為、お買い物領域を中心に元々シェアを拡大しており、上グラフでもBill paymentsなどを筆頭にシェアが高くなっています。
今後の予測
前述のグラフは、2016年3月時点のものですので、勢力図はさらに大きく変わっていることが予想されます。
すでにオフライン決済の分野でも、ウィーチャットペイがアリペイを逆転したという話もあり、前年の決済金額の伸び率から見ても既に両者が半々程度というのは納得感があります。
中国でのシェア争いもそうですが、今は海外でのシェア争いも激化してきていますので、そちらも今度見てみましょう。