中国スタートアップに興味ありますか?

中国のスタートアップを中心に、その他周辺情報も興味のままに書いていこうと思います。やっぱり中国は面白い!

【今さら聞けない?】中国の巨大決済アプリ「アリペイ」とは(基本編)

更新が滞り気味です。ジュージンです。

 

さて、今日は何度も話題にのぼっているアリペイについて。

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少し復習ですが、アリペイは中国3大インターネット企業の一つ、アリババの子会社であるアントファイナンシャルという企業が運営しています。

 

元々は、アリババのメインビジネスであるECの決済システムを安全に運用する為に作られたサービスでした。エスクローサービスと言われ、オンラインでの買い物に不安を感じるユーザー、お金をちゃんと受け取れるか不安な販売者の間に仲介として入り、ユーザーのお金を預かり、商品が届いたらお金を販売者に支払う、どちらかに問題があれば商品・代金は返却される、というサービスを提供しました。

現在は、決済以外に資産運用・保険から信用調査・消費者ローンに至るさまざまな金融サービスを提供しています。

 

企業価値はなんと、、、

600億ドル(約6兆7,000億円)と言われています(2016年4月時点)1年経った現在は、さらにとてつもない金額になっているのではないでしょうか。

 

また、各国の決済系企業への投資を積極的に行っており、直近では、moneygram(米), hellopay(シンガポール)などを2017年に買収しています。

 

アリペイ(アントファイナンシャル)は、2017年上場予定企業の中でも超大目玉となる予定です。(※香港でのIPOを計画中)

 

以下、アリペイの企業情報についてまとめてみました。

 

企業名

Ant Financial Services Group(浙江蚂蚁小微金融服务集团有限公司)

所在地

6/F Chuangye Mansion, East Software Park No.99 Huaxing Road

Hangzhou, Zhejiang 310099 China

利用可能国・展開国

中国、韓国、タイ、香港、日本など

設立年

2004年

代表者名

彭蕾 (Peng Lei)

従業員数

5,000-10,000人

利用者数

4.5億人(MAU)

売上

取引金額:RMB 11.5 trillion (US$1.7 trillion)

取引回数:1日の取引回数は1億7,000万回

ファンディング

2016年、シリーズBでテック業界最高額とも言われる45億ドルを調達した。

その他

【手数料】

・ビジネス側:原則0.6%

・ユーザー側:銀行へ出金する際に0.1%課金(累計20,000人民元(2,978US$)以上出金した超過額に対して)

 

では、一体アリペイとはどんなサービスでどうやって使うのか?何が出来るのか?

続きはまた次回!

 

再見!

 

 

 

 

【中国3大決済、銀聯・アリペイ・wechat payを比較してみた】あの銀聯はどうなった?

何度もお伝えしているように、中国のモバイル決済市場はアリペイとウィーチャットペイの2強が市場の約9割を占める寡占状態です。

 

ただ、覚えていますでしょうか?

 

ほんの数年までは、中国人は銀聯カードをメインで使用し、日本でも中国人決済用に銀聯カードが大量に増えていた時期があったことを。

 

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銀聯カードマーク

 

銀聯ネットワーク:

中国国務院の同意を得て中国人民銀行により批准され、2002年3月26日に中国の銀行カード産業の発展を目的として設立された金融企業である。本社は上海。設立から徐々に加盟機構数を増やし、現在は国内外の400近くの組織が加盟している。

銀聯設立より以前は、中国の金融機関での決済は各地域・各金融機関でシステムやルールが統一されていなかった。異なる金融機関間の取引(残高照会、預け入れ、引き出し、送金など)や、同じ金融機関でも異なる地域間の取引については、一部または全部の決済が出来ない場合があるといった問題があった。しかし、2002年3月に中国国内の80強の金融機関が共同で銀聯を設立することで、バラバラだった金融機関間の決済システムやルールを統一して標準化し、銀聯に加盟した金融機関同士をオンラインで結ぶことで銀聯設立以前にあった問題を解決した。

(出所)wikipedia

 

こうして出来た銀聯ネットワーク上で決済する為に利用されたのが、”銀聯カード”ということですね。

銀聯カードは、中国市場で9割以上のシェアを誇るカードブランドであり、クレジットカード・デビットカードの2種類が存在。ユーザーのステータスによって、どちらを持つかは異なります。(クレジットカード比率は、全体の10%もないと言われています)

 

では、銀聯の現状はどうなっているのか?アリペイとウィーチャットペイと比較してみました。

 

  銀聯 Alipay Wechat Pay
運営元 中国銀聯股份有限公司 Ant Financial Services Group Tenpay Payment Technology Co., Ltd.
設立時期 2002年 2004年 2011年
取扱金額
(2016年)
RMB 72.9 trillion
(約1,149兆8,991億円)
RMB 11.5 trillion (US$1.7 trillion) RMB 8.5 trillion (US$1.2 trillion)
加盟店舗数 世界4,000万店,ATM220万台(内、海外700万店) 中国内200万店舗以上 100万店舗以上
(2016年末時点)
利用者数 60億枚以上発行 約4.5億MAU 約6億MAU
(2016年末時点)
モバイル決済シェア 1.10% 50.40% 38.10%
利用可能国 160か国・地域 中国、韓国、タイ、香港、日本など70ヵ国・地域 中国及び諸外国の提携店等

 

銀聯は、総発行枚数60億枚、取引金額73兆RMB、利用可能店舗数4000万店と他2社をも圧倒的に引き離しています。すさまじいですね。

仮に、中国内発行枚数が50億枚(利用可能店舗数からざっくり算出)だとして、1世帯あたり人数が2.5人、人口14億人とすると、世帯数は、5.6億世帯。50億枚を世帯数で割ると、1世帯9〜10枚ほどの銀聯カード保有数になりますね。

やはり中々激しい数字に感じます。

(※計算は筆者の感覚に基づいた大まかな計算です)

 

背景としては、デビットカードの為、審査が不要 ②高額紙幣が存在しない為、まとまった現金をカード一枚で持ち歩ける利便性、という部分が大きく後押ししたのでしょう。ちなみに中国の最高額紙幣は、100元(約1,600円)です。

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前述のような社会の”不”(国民がクレジットカードを持てない、高額紙幣が無いetc)が集中している場所の方が新たなテクノロジーは普及しやすく、それは今でいう銀行口座もクレジットカードも持たない人が多い新興国で一気にモバイル決済が普及しているのと、プロセスとしては近いと感じます。

 

 【中国で直近3か月で利用された決済方式(2016年5月時点)】

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(出所)FT

 

前回の記事から再掲ですが、こちらのグラフをみても、クレジットカード・デビットカードの利用比率は非常に高いです。どちらもそのほとんどが銀聯利用であると仮定するならば、まだまだ銀聯も中国ではスタンダードとして利用されているのでしょう。

実際に、私の友人で威海に住んでいる日本人は”まだ銀聯を利用することの方が多い”と教えてくれました。(日本人である、ということは勿論考慮する必要がありますが)

 

激しい競争環境の中、銀聯はどういった対策を取っているのか?

次に続きます。

 

 

再見!

”中国人の98%がモバイル決済利用”は本当か?

先日、以下の記事がネット上で少し話題になっているのを目にした。

 

president.jp

 

日銀のレポートに記載された人民網の数値だが、スマホ決済98%というのは確かに驚異的だ。

中国都市部では、非常に広範にモバイル決済が利用される。そして、新たなサービスは全てモバイル決済利用を前提に作られるというスパイラルが起きているのだろう。

 

ただ念の為、気をつけておきたいのは、この98%という数字は取引金額全体に対する比率ではない。以下、ソース元の日銀レポートから引用する。

また中国でも、都市部の消費者を対象に実施された調査によれば、回答者の 98.3%が過去3カ月の間にモバイル決済を「利用した」と答えたとの報道(2016 年 5 月)もある。

(出所)日銀レポート「モバイル決済の現状と課題」

 

つまり、過去3ヶ月で一度でも利用していれば、利用者としてカウントされる。毎回毎回、どんな支払いでもスマホを利用している訳ではない。現金を使うことも勿論あるのだ。

 

以下のグラフを見てみよう。

 

【中国で直近3か月で利用された決済方式(2016年5月時点)】

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 (出所)FT

 

アリペイは確かに圧倒的に普及していて、Third-tier都市(少し田舎位の町と推測)でも首都圏と利用比率が変わらない。ウィーチャットペイも都市の大小に関わらずくまなく利用されている。この測定時点では数値は多少低いが、2016年全体で前年比3倍ほどの取引金額になったことを考えると、利用比率も上昇しているだろう。

 

一方で、現金に関しては田舎の方が利用率が高い。と言うより、首都圏での利用率がアリペイに比べ低くなっているといった方が正しいかもしれない。首都圏では現金の利用率が75%ほどになっているが、裏を返せば25%ほどが現金無しでも生活できているということ。それこそ、驚異的ではないだろうか。

 

 

 

 

【中国3大自転車シェアリング比較】Mobike・XIaoming・ofoはどれが良い?

ofoがアリペイ、DiDiと連携プロモーション実施中

6月23日,36氪日前获悉,ofo小黄车宣布联合滴滴、支付宝推出“无门槛体验日”。凡全国滴滴、支付宝注册用户,均可在本周六日(24—25日)直接通过滴滴、支付宝App无门槛使用小黄车,免押金、免认证、免费骑。

(出所)http://36kr.com/p/5080897.html

今日、明日(6/23-24)は、中国のofo(大手自転車シェアリングサービス)が利用料、デポジット等々が最近提携を開始したタクシー配車DiDiやアリペイ(支付宝)アプリから無料で利用できるようです。

アリペイユーザーは、約4.5億MAUと中国全体で見ても相当なボリュームですし、ofoのような自転車シェアリングサービスは、基本的にある一定以上の都会でサービス展開をしているので、恐らく「アリペイ持ってないからこのプロモーション参加出来ない」という人はほぼいないのではないかと感じます。(感覚です)

 

ユーザー視点では、どの自転車シェアリングサービスが良さそうか?

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さて、ユーザーがサービスを選ぶ際に重視する点を比較してみよう。今回は、以下大手3社を比較。Mobike Liteは、Mobikeの簡易版のようで、少し料金も安くなっている。

 

料金は、Xiaoming, ofoが良さそうだ。30分で8円というのは格安すぎる。さらに、紹介や学生という身分を使えばさらにお得に利用できる為、自分の状況にあった方を選べば良い。

探しやすさ、という面では、MobikeとXiaomingに軍配が上がりそうだ。ofoは、GPSを搭載しておらず、リアルタイムでどこに自転車があるかが明確にわからない。

(※設置台数も記載したかったが、未確認)

使いやすさの面では、Xiaomingかもしれない。ofoは軽いが、施錠方法があまりスマートではない。(いわゆる自転車のダイヤル式)Mobike Liteは軽いが、出会えればラッキーと言われるほど、あまり見つからないらしい。

 

  Mobike Mobike Lite Xiaoming Ofo
利用価格 1 RMB(約16円)/30分 0.5 RMB(約8円)/30分 0.5 RMB(約8円)/30分 1 RMB(約16円)/時間
割引 無し 無し 友達を1人紹介するごとに0.1 RMBを獲得(最低価格は 0.1RMBまで下がる) 学生の場合、0.5RMB/時間に割引
デポジット 299 RMB --- 199 RMB 99 RMB
自転車重量 25kg 17kg 16kg 最も軽い
施錠方法 QRコード読み込み QRコード読み込み QRコード読み込み ダイヤル式ロック
GPSによる
空車地図探索
可能 可能 可能 不可能
(周辺の予測台数のみ表示)

(出所)technode, qz.comより筆者作成

 

信用が全て。デポジットは無くなる?

以下、ご覧ください。

最近の中国では、芝麻信用というアリババグループのクレジット付与サービスにより、各個人のオンライン上行動(支払い額、遅延有無な度)ビッグデータから信用スコアを算出されている。それが、下の芝麻分(点数)だ。

それが、2017年3月16日にofoとアリペイ(支付宝)が提携したことで、芝麻分が規定以上であればデポジット不要でサービス利用が可能になった。

 

【中国 自転車シェアリングサービス各社のデポジット不要基準】

サービス名 クレジットスコア デポジット免除可能都市
ofo共享单车 芝麻分650及以上 上海
永安行 芝麻分600及以上 上海、北京、成都昆明、南昌、长沙、福州、石家庄、天津、济南
优拜单车 芝麻分650及以上 上海、深圳、广州、东莞、佛山、珠海、汕头、中山、无锡、南昌、长沙、宁波
骑呗单车 芝麻分750及以上 杭州合肥
funbike单车 芝麻分700及以上 深圳
小蓝单车 芝麻分700及以上 深圳、广州、成都、北京、南京、佛山。

※funbike, 小藍は、予定

 

裏を返せば、中国のほとんどの人間がそのクレジットスコアを共通で測られてしまえるほど、アリババ経済圏に取り込まれている、ということだろう。

 

 

 

 

 

【中国AI人材まとめ】アメリカを超えた?中国のAI産業。百度の本気度。

中国のAI(人工知能)についての研究が活発さをさらに強めている。

フォーブスの記事によると、AIに関する研究論文の数が2015年でアメリカを抜いたとのこと。

 

中国は本当にAI研究の分野でアメリカを抜いたのか?

よくよく出典元を確認すると、以下の通り、「self-citation(自己引用)を含めた数で中国がアメリカを抜いた」という事であり、右グラフのinfluenceをみても研究の影響度合いはまだアメリカの上のようだ。

とは言っても、2015年の話なので、現在はどこまで中国が発展しているか分からない。「アメリカで修行し、中国に技術を直輸入し莫大な資金を投入し発展させる」のが得意な中国なので、すでに本当の意味でもアメリカを追い抜いているかもしれない。

 

             【国別AI関連論文発表数 比較】

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(出所)Mckinsey Global Institute report

 

中国のトップAI人材

以下、中国におけるAI領域のトップタレントを紹介する。

No. 氏名 現職 職歴 学歴 その他
1 Kai-Fu Lee Co-Founder of Sinovation Ventures AppleMicrosoftGoogleのエグゼクティブを歴任 コロンビア大学コンピュータサイエンス学士
カーネギーメロン大学・博士
・米国と中国で技術とAIの新興企業に積極的に資金を提供しているベンチャーキャピタル会社、Sinovation Venturesを共同設立。その前にはGoogle Chinaを設立。
・中国で5千万人ものSNSフォロワーを抱え、中国テクノロジー業界の預言者として崇められている。
2 Qi Lu Group President & COO, Baidu IBMマイクロソフト、ヤフー 復旦大学コンピュータサイエンス学士
カーネギーメロン大学・博士号
---
3 Haifeng Wang Head of AI Group, Baidu
ハルビン工科大学 助教
--- ハルビン工科大学・コンピュータサイエンス学士/修士/博士 ・Baiduのディープラーニング研究所、Big Data Lab、Silicon Valley AI Lab、Augmented Reality Lab、Natural Language Unit、AI Platform Unit(AIG)で構成されるAIグループを統括する
・Wangの技術は自然言語処理NLP)と機械翻訳であり、AIで100以上の学術論文を執筆
4 Tong Zhang Executive Director of AI Lab, Tencent Baidu Big Data Labトップ
IBM
Yahoo
Rutgers大学 教授
--- ・テンセントにて、機械学習、コンピュータビジョン、音声認識、および自然言語処理におけるテンセントの能力開発に従事
5 Jingren Zhou Chief Scientist and Vice President of Alibaba Cloud, Alibaba Microsoft エンジニアリングマネージャー 中国科学技術大学・学士
コロンビア大学コンピュータサイエンス博士
・Alibaba Cloudのデータ科学技術研究所(iDST)で大規模なデータとAI研究を行う。AlibabaのAI技術をスピーチ、自然言語、画像およびビデオ処理、大規模機械学習で推進
6 Xiaofe He President, DiDi Research Yahoo Research Labs 社長
浙江大学 教授
浙江大学コンピュータサイエンス学士
シカゴ大学・博士号
・DiDi ResearchはDiDi Chuxingの頭脳的位置付け
7 Yuanqin Lin Head of Baidu Research, Baidu NEC Labs America メディアアナリティクス部門責任者 清華大学・光学工学修士
ペンシルバニア大学・電気工学博士
・Silicon Valley AI Lab(SVAIL)、Big Data Lab(BDL)、Augmented Reality Lab(ARL)、Deep Learning Lab(IDL)などの研究室を管理
8 Pinpin Zhu President & CTO, Xiaoi --- --- ・「Chatting Robot System」や「SMS Robot System」などの特許を取得しており、Xiaoiの会話型インターフェースにおける技術的優位性獲得に貢献
・Chinese Academy of Sciencesの科学博士、中国国家情報技術標準化委員会に任命され、数々の賞を受賞
9 Wei Xu Distinguished Scientist, Baidu NEC Labs
Facebook
清華大学・学士
カーネギーメロン大学修士
・検索ランキング、ターゲット広告、画像分類 、翻訳、自動運転車などに利用されているPaddlePaddleというディープラーニングツールの開発を行い、高く評価されている
10 Wanli Min Principal Data Scientist, Alibaba   14歳で大学入学
中国科学技術大学・学士
シカゴ大学統計学博士
・Little Aiという名前のAlibaba Cloud(Aliyun)人工知能システムの研究開発を主導
11 Kun Jing General Manager of Duer, Baidu Microsoft R&Dディレクター --- ・2000万人のユーザーが熱中したXiaoiceというチャットボットを開発
12 Dong Yu Deputy Director of AI Lab, Tencent Microsoft Research Institute 音声対話グループ 主任研究員
浙江大学 助教
中国科学技術大学 客員教授
上海交通大学 客員研究員
浙江大学・電気工学 学士
アイダホ大学・コンピュータサイエンス 博士
・TencentのSeattle AI Labを運営し、音声認識自然言語理解の研究を行う
13 Adam Coates Director of Silicon Valley AI Lab, Baidu --- スタンフォード大学コンピュータサイエンス学士/修士/博士 ・2015年に35人の革新者35人のうちの一人としてMIT Technology Reviewに選出
百度で、Deep speech/Deep voiceに取り組む
14 Kai Yu Founder & CEO, Horizon Robotics Head of Baidu Institute of Deep Learning 南京大学・電気工学 学士
ミュンヘン大学(独)Ludwig−Maximilians・コンピュータサイエンス 博士
・Horizonはこれまで2つのプラットフォーム、スマートホームのAndersonとスマートドライブのHugoを立ち上げた。
Andersonは、顔認識や自動発注などの機能を備えた家電製品を提供。Hugoは、悪天候でもリアルタイムの歩行者や物体の検出を行う高度な運転支援システムを提供
15 Jing Wang Former Senior Vice President of Engineering, Baidu Google 上海エンジニアリングオフィス 副社長
eBay China CTO・R&Dゼネラルマネージャー
中国科学技術大学・学士
Chinese Academy of Sciences・コンピュータ科学 修士
・Baiduでは、モバイル、クラウドコンピューティングビッグデータ、サイバーセキュリティ、Baidu Research、Autonomous Drivingなど、多数のビジネスユニットで5,000人以上のエンジニアを管理
16 Bo Zhang Professor of Computer Science and Technology, Tsinghua University --- 清華大学・自動制御 学士
Chinese Academy of Sciences会員
---
17 Hua Wu Technical Chief of NLP Group, Baidu --- Chinese Academy of Sciences・博士 ---
18 Wei Li President and Professor of Computer Science, Beihang University --- 北京大学・数学/力学
エジンバラ大学コンピュータサイエンス 博士
人工知能とネットワークコンピューティングにおける技術的貢献の賞を数多く受賞
19 Hongbin Zha Professor of Machine Learning, Peking University --- Hefei University of Technology・電気工学 学士
九州大学・電気工学 修士/博士
・コンピュータビジョン理論、バーチャルリアリティ、ロボット工学などの研究に従事
20 Yunji Chen Professor at Institute of Computing Technology, Chinese Academy of Sciences --- 14歳で大学入学
24歳で博士号取得
・2015年には、MIT Technology Reviewによって35歳未満の35人の革新企業の一人として選出
・コンピューターが対象を認識し、言語を翻訳するためのエネルギー需要を削減する微細加工チップであるGodson-3Cのチーフアーキテクトを務める。人間の神経細胞シナプスモデリングして深い学習を容易にする、脳を中心としたプロセッサチップ。研究チームは、Chinese Academy of Sciencesの最年少教授の二人であるChenと彼の弟Tianshi Chenが率いる

  (出所)forbes記事より筆者作成

 

百度の本気度

さて、気付いた事が2点ある。

 

  1. 百度(Baidu)で働いている人間が圧倒的に多い(8名)
  2. アメリカで学んで中国に帰国している人間が非常に多い(8名)
    ※No.13は中国人ではないので、除外

百度は、以前の記事でも少しお伝えしたが、直近の決算発表で明確に”今後AIに注力する”と宣言している。

startup-china.hatenablog.com

 

その結果が、上の表に強く表れていると感じる。

アメリカのトップ大学でコンピューターサイエンスなどの博士号を取得し、グーグルなどITトップ企業にて重責を担い、百度がスカウトするという流れが出来ているように見える。
(14歳で大学入学など凄まじい経歴が並んでいる、、)

 

もちろん、他社も黙っている訳にはいかず、No.4のようにテンセントが百度から奪った人材もいる。

中国では、AI人材の獲得競争が相当加熱しているようだ。

 

先日、たまたま日本のIoT/AI関連で相当な権威の方にお目にかかる機会があり、その方がどうしても次の学会で話を聞きたい、とおっしゃる世界的な人物も、百度の経営陣として就任したそうだ。

 

BAT(百度、アリババ、テンセント)の”B”社がそろそろ追い上げを見せてくるかもしれない。

 

再見!

中国自転車シェアリングのユニコーン、モバイク(摩拜, mobike)が福岡に進出!

昨日6月22日、中国のシェアリング自転車最大手・モバイク(摩拜, mobike)が福岡市でのサービス展開を開始することを発表しました。これは、海外展開を進める同社のシンガポール、イギリスに次ぐ3カ国目です。

 

発表の内容

こちらが、発表の様子です。

Mobikeで海外営業本部長(中国語で”総監”)を務めるChris Martin氏は、以下のように述べています。

Mobike is very excited to enter the Japanese market, and Fukuoka City, known for its innovation and dynamism.(モバイクは、日本市場・福岡といういノーベーションの街に進出できることにエキサイトしている)

Fukuoka city government and the Fukuoka Directive Council (FDC) have given Mobike an incredible platform from which to expand our business in Japan.(福岡市とFDCはモバイクが日本でビジネスを展開していく為にとても良い環境を与えてくれた)

(出所)CGTN.com

 

中国では、乗捨て自転車の窃盗・破壊行為などが社会問題になっている様ですが、そうした事もあり、海外進出する際の地元政府からの支援は必須。

起業を促すイノベーションシティとしての様々な取り組みをする福岡市であり、東京ほど地下鉄でどこにでもいける訳ではないという事もあり、お互いの利害関係が一致したのではないでしょうか。

 

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(出所)mobike

 

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(出所)mobike

 

会社概要

以下、会社概要です。

企業名

北京摩拜科技有限公司

所在地

中国、北京市

利用可能国・展開国

中国、シンガポール、イギリス、日本(福岡)

設立年

2015年12月

代表者名

Yiping Xia

従業員数

251 – 500人

利用者数

約1億人(全世界)

売上

---

ファンディング

・合計925M US$(6ラウンド)を17投資家から調達

(テンセント、富士康、シンガポール政府の投資会社Temasekなど)

その他

・500万台の自転車を保有し、100都市以上で運営

・2,500万回/日のオーダーを受ける

(出所)crunchbase, xinhua.netを元に筆者作成

 

利用方法

基本的な使い方としては、

スマホアプリで近くの自転車を探す

② 自転車のQRコードを読み込み、ロック解除

③ 目的地に到着したら、自転車を乗捨てる

④ 自転車をロックし、アプリと連動したウィーチャットペイ/アリペイといったモバイル決済アプリで支払い(料金:30分1元(約15〜16円))

 

スペインでも自転車シェアリングサービスはありましたが、自転車ステーションでの乗り降り、支払いは政府ウェブサイトから申し込み、先に50ユーロ/年を支払うというものでした。私はそれが面倒で申し込みをしませんでしたが、mobikeであれば利用したいなと思います。こうした利用障壁を下げたサービスは、利用者の裾野を広げるので良いですね。

 

現在、モバイク(摩拜, mobike)の評価額は30億ドル(3,000億円以上)と言われており、すでに巨大スタートアップに成長しています。

恐らく、他の日本の都市や他国とも交渉をしているでしょうから、次にどこに現れるか、福岡でのサービスがどれだけ普及するか楽しみです。

 

追記:早速、北海道・札幌への進出が発表されましたね!

中国を拠点として自転車のシェアリングサービスを展開するMobikeは23日、同社サービス「Mobike」を北海道・札幌市でも展開予定であることを明かした。同社の日本進出は22日に福岡市との提携が発表されたばかりだが、それに札幌市が続いたかたちになる。

この発表が行われたのは、札幌市で開催される最先端テクノロジーを核としたビジネスコンベンション「No Maps」の記者会見。開催に際して、「北海道・札幌を社会実験、社会実装の聖地にする」ことを狙っており、Mobikeとの提携もその一環で行われた。

    http://news.mynavi.jp/news/2017/06/23/356/

ウィーチャットが猛追!中国のモバイル決済はアリペイとの一騎打ちに

中国モバイル決済市場の2強

中国のフィンテック、モバイル決済が非常に進んでいることは以前お伝えしました。

startup-china.hatenablog.com

 

では、具体的にどこの会社が強いのか、伸びているのか?

 

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いわゆる中国インターネット界の3強BAT(百度、アリババ、テンセント)の内、特に最近勢いがあるアリババとテンセントが市場を寡占しています。

 

      【中国モバイル決済プレーヤー 取引金額とシェア推移】

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(出所)China Internet Watch「The growth of digital payment ecosystems in China: what it means for other countries」

 

この右図を見ると、ウィーチャットペイ(赤)とアリペイ(アリババ運営・緑)の2社で市場取引金額の9割に達していることがわかります。

先行するアリペイは2016年にウィーチャットの急速な追い上げにあっており、現在ではほぼ半々程度なのではないか、と言われるほど拮抗しています。

これら2つのサービスの違いは何なのか?それぞれの強みは異なるのか?

 

アリペイとウィーチャットペイは何が違うのか?

基本的にほぼ同じです。

ただ、サービスの生い立ち・背景が異なり、それにより使用目的も異なります。

 

   【アリペイ・ウィーチャットペイ モバイル決済用途 2016年3月時点】

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                                  (出所)emarketer

 

一番下の部分、”P2P transfer”に注目してください。

この項目だけウィーチャットペイ46%に対し、アリペイが31%と勢力が逆転しています。”P2P transfer”というのは、個人間送金のことですので、お友達同士でお金の貸借り・返金などをする場合です。

 

確かに、ウィーチャットは日本でいうLINEであり、すでに9億人のユーザーを獲得して、コミュニケーションツールとして圧倒的No.1の地位を築いています。そして、ウィーチャットペイのユーザーは、その内6億人。

お金の貸借りであれば、そこにはほぼ確実に「こないだ借りたXX元返すね♪」「今日お金持ってないから貸して。。」などの会話が発生するはずです。

であれば、そのままウィーチャットでLINEスタンプを送る感覚でお金を送れたら便利ですよね。それが、この”P2P transfer”でウィーチャットペイが強い理由です。

 

では、アリペイはどうか?

アリペイはアントファイナンシャルという会社が運営していますが、その親会社は「アリババ」です。

アリババのメインビジネスはアリババやタオバオなどのECサイトですので、ここには販売者と購入者が存在します。

アリババのビジネスが伸び始めていた当初は、オンラインでお金を支払って商品が本当に送られてくるのか?といった不安がありました。そこで、アリペイが両者の仲介に入り、一時的に支払い金額を消費者から預かり、取引が問題なく行われた場合に販売者にお金を渡す、問題があった場合には消費者に返金する、というサービス(エスクローサービスと言います)を始めました。

つまり、アリペイの始まりはお買い物決済の仲介です。その為、お買い物領域を中心に元々シェアを拡大しており、上グラフでもBill paymentsなどを筆頭にシェアが高くなっています。

 

今後の予測

前述のグラフは、2016年3月時点のものですので、勢力図はさらに大きく変わっていることが予想されます。

すでにオフライン決済の分野でも、ウィーチャットペイがアリペイを逆転したという話もあり、前年の決済金額の伸び率から見ても既に両者が半々程度というのは納得感があります。

中国でのシェア争いもそうですが、今は海外でのシェア争いも激化してきていますので、そちらも今度見てみましょう。